ゲームプランナー · ゲーム開発 · 野良作家

創作の階段

それは階段を上るように。

まずはそのままはき出して、
次にそれを伝えることを考え出して、
それから技術を身につけて。

僕は20年ほど、仕事と趣味で創作をしています。
文章を書いたり、企画を作ったり、ゲームを作ったり、です。

「ほぼ日」に書かれていた吉本隆明さんの言葉で、
「10年間、毎日ずぅっとやって、もしそれでモノにならなかったら、
 俺の首やるよ」
というのをがありました。
学生の頃見たから、20年近く前ですね、たぶん。

その言葉の通り、30歳すぎたあたりで、
自信がほんのちょっぴりだけ、持てるようになった気がしています。
クリエイターの仕事。お客さんに向かって作る、という意味、とか。

それからさらに10年経って。
居心地の良かった会社を出て(これもまあいろいろあったんですが)、
神奈川から沖縄に引っ越して。

そしたら、分からなくなったんです。

何がって──「自分が何を作りたいか」。

もともと、性格として周りを気にする方ではありました。
だから「こんなコト書いたら怒られる」とか「こんなものじゃ見せられない」とか。自分で自分にダメ出しすることがよくありました。

それが、先輩や上司に対しても思うようになって、
(今思うとコレが始まりかな、と思うのです)
「作品を見てくれる先輩がOKといってくれるものを探して書く」
ようになってきました。

これ、しんどいです。

そもそも創作に「正解」はないです。
あるとすれば「見せ方」とか「伝え方」の方です。

なのに、自分が作りたいことをそっと見ないふりして、
「正解」を求め始めたのだから。

たぶん、創作が
──僕が分かる範囲の、企画書書くとかシナリオ書くとかでは──
辛くなるのは、こういう切欠なのかなとおもったんです。

だから、今、意図して、
自分が作りたいモノを「書き散らかす」ようにしています。

誰に見せるわけでもなく、
ただ、はき出すように。

自分の中にある、ぐわぐわとしたものを、
よくわからない混沌としたものを、
今自分が使える表現の道具で、そのまま。

これ、ちょっと楽になるんですよね。

ただ書いてるだけで、心地いい感じ。
たぶん、最初に「創作したい」って思ったのって、こういう感覚なんだったんじゃないかな、っておもいます。

クリエイターを目指す人へ。

技術、型、そういうのは後回しです。
最初に必要なのは屹度、
自分の中にあるものを、
誰を気遣うでもなく、誰に見せるでもなく、
ただ、そのまま、見える形に出してみること、なんじゃないかって。

それが人によっては文章だったり、絵だったり、音だったり、
するのでしょう。

それが精一杯出せるようになったら、
ちょっとだけ誰かに見せてみれば良いんだと思います。

そしたら、なんか反応がもらえます(インタラクション!)
もっと見せたくなるかもしれないし、
上手く伝わらなくてやきもきするかもしれない。

そしたら始めて、それを伝えるための方法として、
技術とか型とか、
身につけようとすればいいんじゃないのかな、って。

自分が感じたこと、
スゴイって思ったこと、
いいなって思ったもの。
それをそのままはき出して、
上手く伝わらなかったとき。
そしてそれを「どうにかして伝えたい」っておもったとき。
自分と同じ思いを抱いているひとに届けたい!っておもったとき。

たぶんそれが、始まりです。

……と、2回目のスタートラインにやってきた自分は思うのです。